ソースにはトマトやたまねぎをはじめとする野菜が使われていますが、それらを引き立ててくれるのがスパイス。その魅力や特長をもっと知っていただきたくて、スパイスの特設ページを作りました。代表的なスパイス、7種類をご紹介します。
オールスパイスは、中世ヨーロッパの人が珍重したナツメグ、シナモン、クローブの3種のスパイスの香りを持つことからこの名がつけられたといわれています。東洋では百味胡椒、三香子とも呼ばれています。
肉にも甘いものにも合う万能スパイスで、用途は広く、ハンバーグやソーセージなどの肉料理に用いられたり、甘い料理やデザート、果実にも向いています。また、上記のナツメグ、シナモン、クローブと併用すると香りが調和しマイルドになります。
辛さを表現するスパイスの中でも、重たく深みのある辛さを醸し出すのがクローブ。色を濃くしたい料理や、羊や豚を使う料理でよく使用されています。独特の香りがあるので、料理に入れすぎると好き嫌いが分かれるところ。原産はインドネシア。大航海時代(15〜16世紀)にコショウとともに高価な香辛料として世界中に広まりました。ちなみに、薬効性の高いスパイスとしても知られ、中国では漢方薬として、日本でも痛み止め薬剤の原料としても使われています。
多くのスパイスは種子や花、根、葉などですが、シナモンは樹木の皮からできています。熱帯だけに生息するクスノキ科の常緑樹の樹脂を剥ぎ取り、一度発酵させた後、さらに外側の皮を剥ぎ取り乾燥させたもの。少量だと甘い風味ですが、大量に使うと深みのあるコク、そして繊細で上品な辛味を醸し出します。古代から酸化防止剤として扱われ、現代でもインドやスリランカでは咳止め薬として、さらに気持ちを落ち着かせるときに紅茶にたっぷり入れるなどして使われています。
家庭菜園でも手軽に栽培できるハーブ、セージ。その葉を手に取ると、鮮烈なほろ苦さと鼻にスッと抜ける爽やかな香りがします。肉や魚などの生臭さを消し、酸化防止作用もあるので、素材の腐敗を抑える働きがあることも特長です。地中海沿岸付近が原産で、ギリシャやローマでは不老長寿の薬として重宝され、中性のイギリスでは「長生きしたいものはセージを食べろ」、イタリアでは「庭にセージを植えているものは死ぬはずがない」といわれたとか。日本に伝わったのは19世紀末頃。薬草として栽培が始まったそうです。
ヨーロッパでは、スープやソース、魚介や肉の料理、焼き物、煮物など、あらゆる料理に使われるタイム。素材のクセやにおいを一掃するような、爽やかな香りと強い防腐作用が特長です。カレーやシチューなどに加えるといつもと違った風味に。また、オリーブオイルやビネガーに漬けてパンやサラダを味わうのにも適しています。日本でよく使われるのは、葉の細いフレンチタイムと多様な形の葉を持つレモンタイムの2種類。フレンチタイムは主に料理用として、レモンタイムはティーに入れてよく使われています。
フランス語でローリエ、英語でベイリーフ、日本語では月桂樹と呼ばれ、世界中で使われているスパイスです。その歴史は古く、ギリシャ神話時代には妖精の生まれ変わりとして崇められ、古代ローマ時代には戦いの勝利者を讃える冠として扱われてきました。保存料や防腐剤としての効果もあるといわれ、マリネやピクルスなど冷製ものから、ローストの肉や魚の焼き物、シチューやカレー、ブイヤベースなどの煮物、各種ブイヨンを取るときな幅広く使われています。西洋やインドでは、リラックス効果、疲労回復、健胃整腸剤としても重宝されているそうです。
ミントやアニスをもっと濃くしたような鮮明で個性のある香りを放つフェンネル。気になる匂いを消してくれるスパイスとして、ヨーロッパでは魚料理で、インドではマトンや魚介など匂いの強い素材の料理で、多用されています。多年草で環境に適しやすいため、昔から世界各国で栽培。薬効を期待できるスパイスとして、視力強化剤や咳止め、健胃整腸剤、漢方の処方などにも使われてきました。そして、昨今注目されているのが、ダイエット効果。日本でも話題になっています。